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【スチール缶】東洋製罐と新日鐵住金、業界最軽量缶を開発。約40%の軽量化を実現

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2018 08 10 toyo seikan1 東洋製罐(株)新日鐵住金(株)は、共同で業界最軽量となるスチール缶を開発した。このスチール缶を使用している製品は、今年5月から市場に流通している。

1.軽量化の実績

 共同開発したスチール缶は、185g用TULC(*1)の低陽圧缶(*2)で、缶重量はスチール缶では業界最軽量の16.2g(蓋除く)。低陽圧缶仕様の従来缶に対して6%超、広く使用されているTULCの陰圧缶(*3)に対して約40%の軽量化を実現した。

 缶の軽量化は製造工程や輸送時のCO2排出量削減につながり、開発缶の今後の採用拡大が期待される。

2018 08 10 toyo seikan2

2.開発までの経緯

 東洋製罐は、安定した缶内圧の確保により缶内圧検査が可能であり、缶の薄肉化を図れる。

 低陽圧缶充填システムを従来から開発しており、飲料充填メーカーに低陽圧缶仕様のスチール缶と共に提供している。 

 新日鐵住金は、低陽圧缶仕様の従来缶用に板厚 0.185mm の鋼板を供給していたが、 開発缶用に新たに板厚0.170mmの鋼板を開発した。鋼板は TULC 製缶時にさらに薄く延ばされる。缶の板厚が薄くなるに伴い、鋼板中の介在物の影響を受けやすく、缶は破断しやすくなる。新日鐵住金は、介在物を極力低減する技術を高めた極薄鋼板の開発を実現した。

 東洋製罐は、製缶プロセスの工夫により、板厚0.170mmの極薄鋼板でのTULC製缶を実現した。 

3.スチール缶の開発

スチール缶は、

1 リサイクル率が高く、LCA(ライフサイクルアセスメント)に優れている

2 打検(*4)により、缶詰製品の内圧異常などの良否判定が可能である
3 変形・破損しにくく、流通特性に優れている

4 遮光性・気密性に優れ長期保存が可能 

などの特徴を持っている。これらの特徴を生かしながら、素材メーカーと製缶メーカーの 共同の取り組みにより、業界最軽量となるスチール缶を実現した。実現した開発缶は、 ダイドードリンコ(株)のコーヒー製品に採用されている。

 (*1)TULC

TULC(Toyo Ultimate Can)は、材料・生産プロセスを根本から見直し、加工時にクー ラント(潤滑・冷却剤)不要、廃水処理不要、内面塗装不要な環境保全性を飛躍的に高めた2ピース缶。

(*2)低陽圧缶 缶の内圧が外気圧より高い(陽圧)状態のため、缶胴が薄くても強度の保持ができる。缶底がフラットな形状であるため、陰圧缶詰用の打検システムを使用できる。 

(*3)陰圧缶 缶の内圧が外気圧より低い(陰圧)状態のため、缶の剛性により強度を保持する。 

(*4)打検 音波を利用した缶詰の非破壊検査方法。缶底を叩いてその音の振動数を解析し、製品の内圧を判別して良否判定する。


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