関西大学(本部:大阪府吹田市、学長:芝井 敬司)システム理工学部の田實佳郎教授と帝人フロンティア(株)(本社:大阪市北区、社長:日光信二)は、かねてより「圧電組紐」(*)の共同開発を進めているが、このたび、その形状の自由度および 強靭性を活用し、強い衝撃がかかる箇所で直接測定が可能なウェアラブルセンシングデバイスの開発に成功した。開発したデバイスは、1月16日~18日に東京ビックサイトで開催される「第5回ウェアラブルEXPO」に出展する(ブースNo.:西ホール W14-8)。
(*)圧電組紐:ポリ乳酸繊維を使用して圧電体を組紐状にしたウェアラブルセンサー
圧電体は、圧力を加えると電気エネルギーを発生する物質の総称で、高分子圧電体は、ユニークなセンサーを提供する材料として期待されてきた。関西大学と帝人グループは、「圧電ファブリック」「圧電組紐」「圧電刺繍」の共同開発に取り組んで おり、環境配慮型素材であるポリ乳酸を圧電体として適用する可能性を拡げてきた。
また、昨今のIoTの潮流の中でウェアラブルデバイスの開発は活発に行われており、そのセンサーの多くには従来のMEMSや圧電セラミックなどが使用されているが、センサー自体の固さや脆さから使用できる箇所は限定的であり、特に強い衝撃がかかる 箇所への使用は避ける傾向にあった。こうした中、関西大学と帝人フロンティアは高分子圧電体を組紐構造とすることで、瞬時の応答性と高い衝撃への耐性を持つ「圧電組紐」の能力を生かしたデバイス開発に取り組んできた。
そして、このたび「圧電組紐」を用いることにより、スポーツ用品の高い設計指針を損なわずに衝撃力を直接計測することができる一体型センサーの開発に成功した。これは、繊維の集合体である組紐ゆえの形状の自由度および強靭性を活かしたデバイスで、従来は直接の計測が難しかった強い衝撃のかかる箇所での正確なデータ収集を可能とした。
「第5回ウェアラブルEXPO」では、子供向けのサッカーレッスン用シューズセンサーデバイスと、テニスラケットセンサーデバイスを展示する。シューズセンサーデバイスは、センサーをシューズの外側に配置し、シューズがサッカーボールに与える衝撃力を、インサイドキックやインステップキック、アウトサイドキックやトゥキックといったキックの種別ごとに直接計測することができる。また、テニスラケットセンサーデバイスは、ボールに与える力をガットストリング1本ごとに直接計測することができる。
また、同時に「センサーそのものをデザインの一部にする」というコンセプトで高いファッション性を追求した、人の動作を検知する装飾センサーデバイスも紹介する。このセンサーは、活用することにより、AI活用に有効な良質なビッグデータの収集が可能となる。
関西大学と帝人フロンティアは、今後も産学連携による従来にない価値の創出を強力に推進していく。そして、環境配慮型素材であるポリ乳酸による圧電体の可能性を追求し、さらに技術確立を進めることにより、IoT社会の推進に貢献していく。
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【ウェアラブルセンシングデバイス】関西大学の田實佳郎教授と帝人フロンティア、圧電組紐を活用した、形状の自由度と強靭性を兼ね備えた耐衝撃性デバイス開発
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