昨春、ハイデルベルグはデジタル印刷機バーサファイアの2つの新しいモデルを市場導入した。バーサファイアEVは、クリエイティブなアプリケーションによって印刷業界の要求に応える柔軟な生産システムで、ビジネスモデルを拡張することを可能にしている。
一方のバーサファイアEPは、ロングランにおいても高い安定性と生産性を誇る生産システム。2018年の夏には、ハイデルベルグ・アメリカのプリントメディアセンターにて、北米における新しいバーサファイアモデルの新たなる登場を祝った。参加した顧客は、新しい機能に高い関心を示し、2つのデジタル印刷機のコストパフォーマンスに驚きを隠せなかった。
2018年10月に上海のプリントメディアセンターで開催されたコマーシャルデイは、日本を除くアジア市場での初のお披露の場となり、ここでもバーサファイアEVとEPへの関心は大きなものがあった。この新しいデジタル印刷機は、多くのハイデルベルグユーザーに導入され稼働している。
高い印刷品質とフィニッシング・オプションによるクリエイティブな可能性
最初に生産されたバーサファイアEVのうちの1台は、ドイツのヘッセン州フルダ市にある印刷会社、リンツ社で2018年4月から稼働している。マネージングディレクターのセバスチャン・イェラベック氏はオフセット印刷サービスを補完する自社のニーズに合致したデジタル印刷機を数年間探していた。 他社製デジタル印刷機での彼の最初の経験は満足のいくものではなかった。「デジタル印刷は私たちの提供するサービスの重要な一部であり、ポートフォリオをさらに充実したものにするため、そして少ロット対応のために活用したいと考えています」と、イェラベック氏はデジタル印刷機に対する要望を語る。「バーサファイアEVはそれら私たちの要望を満たしてくれる唯一の印刷機でした。品質も高く、オフセットとの違いもほとんどありません。そして優れたカラーマネジメントは、オフセットとデジタル、両方のシステムを合わせた製品を生産することも可能であるということを意味しています」と、プリプレスチームリーダーのゾーレン・プルアー氏が説明する。
デジタル印刷機がオフセット印刷のサービスを補完し、サービスをさらに充実
リンツ社は自社を顧客にとっての問題解決者と位置付けており、特に複雑な印刷物について、個々のクライアントに提供しているコンサルティングサービスを強みとしている。このフィロソフィーが成功し、1931年に会社が設立されてから同社は成長を続けている。2、3年に一度、最新の印刷技術に投資しており、今年はオフセット印刷においてもさらなる生産の拡大を計画している。「私たちは幅広い市場で活動をしており、最も大切な資産である70人を超える従業員がその活動を支えています」。成功へのレシピを説明しながらイェラベック氏は説明する。
フルサービスを提供する同社は3シフトで稼働しており、その製品の80％はドイツ国内の顧客に納品され、同様にオーストリア、スイスの顧客にも納品されている。4分の3の印刷物は商業印刷物だが、成長著しいパッケージも生産している。製造業、銀行、保険会社、出版社、広告代理店などが彼らの顧客だ。
「私たちは、自分達がお客様のパートナーであると考えています。数年前は私たちのブランドを再定義し、リポジショニングしました。標準的な印刷会社から、お客様の問題解決者として、”かけがえのない存在”となるために」と、イェラベック氏は説明する。顧客へのサービスはつねに拡大を続け、今では倉庫や物流サービスまでも提供している。主要顧客に対してはプライベートのウェブストアサービスを提供し、名刺から宣伝物まですべてをオンラインで発注できるようにしている。
リンツ社は、バーサファイアEVによるポートフォリオの拡大を望んでいる。新規、そして既存顧客にホワイトトナー、クリアトナー、ネオンピンクも使えるデジタル印刷機のクリエイティブな可能性をアピールするために、特徴のあるDMを使っている。「私たちは、お客様にベストのサービスを提供したいのです。だからこそ最新のテクノロジーに再び投資しているのです」と、イェラベック氏は続ける。「ハイデルベルグの革新的なテクノロジーと最高のサービスには驚いていますよ」。