(株)カネカは、5G(*1)高速高周波対応の超耐熱ポリイミドフィルム「ピクシオ(TM)(*2)SR」を開発した。今年発売の5G対応スマートフォンのフレキシブルプリント回路基板用部材に採用が決定した。
5G は2020 年に本格的に実用化され、2023年には5G対応機種がスマートフォン生産台数の約3割を占めると推定されている(*3)。そのため高周波帯における伝送損失(*4)が低い回路基板のニーズはますます高まっていくことが見込まれる。超耐熱ポリイミドフィルム「ピクシオ(TM)SR」は、独自のポリイミド分子設計技術によって5Gの高周波帯に対応する低伝送損失を実現するとともに、銅箔との接着面に熱可塑性(*5)ポリイミド層を用いることで優れた加工性を持つ製品。デジタルデバイスの高機能化を支える製品として販売を拡大し、2023 年に売上高150億円を目指す。
今後、5Gの急速な普及に伴い、通信システムを支えるポリイミド材料のさらなる需要拡大が見込まれる。同社は、超耐熱ポリイミドフィルムに加え、フレキシブルディスプレイ用透明ポリイミドフィルム、TFT(*6)基盤向けポリイミドワニス、超高熱伝導グラファイトシートなどの開発に注力しており、IoT/AI時代の実現に向けて各種ポリイミド製品で様々なソリューションを提供していく。
*1.第5 世代移動通信システム(5th Generation)の略称。
*2.コアとなるポリイミドフィルムの両面に熱可塑性ポリイミドの接着層を施した超耐熱ポリイミドフィルム。2 層フレキシブルプリント回路基板に使用される。2 層フレキシブルプリント回路基板は、従来の3 層基板に比べて薄型化が可能であり、さらに信頼性・寸法安定性にも優れる。
*3.富士キメラ総研「2018 5G/高速・大容量通信を実現するコアテクノロジーの将来展望」。
*4.回路基板上を流れる電気信号の劣化度合い。
*5.加熱すると軟化し、冷やすと再び固くなるプラスチックの性質。
*6.TFT=Thin Film Transistor 薄膜トランジスタの略称。有機EL 素子の発光を制御する。