ダイキン工業(株)は、マイクロ水力発電システムを用いて発電事業を行う子会社「(株)DK-Power」を2017年6月7日に設立し、これまで培ってきた省エネ技術を応用した再生可能エネルギーによる創エネ事業に取り組む。マイクロ水力発電システムを用いた発電事業は、2015年に設立した同社の技術開発拠点「テクノロジー・イノベーションセンター(以下、TIC)」の研究開発テーマから事業化に至った第1号案件であり、DK-PowerはTICから生まれた初めてのスタートアップ企業。
DK-Powerは、自治体が保有する水道施設にダイキン工業が開発したマイクロ水力発電システムを設置し、発電を行う。システムの設置およびメンテナンスはDK-Powerが担うため、自治体は環境負荷が小さいクリーンなエネルギーの創出に貢献でき、さらに、新たな負担なく水流と設置場所の賃貸料も得ることができる。これらの収益により、地域住民に対する自治体のサービス向上につながり、また発電過程のCO2の排出が少ないクリーンなエネルギーの地産地消を実現するサステナブルなエコシステムの構築につながる可能性がある。
ダイキン工業が開発したマイクロ水力発電システムは、水道施設の水道管に接続することで、未利用であった水力エネルギーから電気を創り出す。既存の水道施設に設置するため、大規模な施設を新たにつくる必要がなく、各地の水道施設に普及する可能性がある、いわば「未来の水車」。
従来のマイクロ水力発電は、発電規模に対して導入コストが高く、また機器の大きさによって設置場所が限定されていた。ダイキン工業が開発したマイクロ水力発電システムは、設置面積が一般的なマイクロ水力発電システムの約1/2で、導入コストも大幅に削減できる。
今後、電力消費量の多い上水道施設や、水を多く消費する工場内の施設への導入を想定している。環境保全に対する意識の高まりから、企業や自治体の多くがグリーン調達を推進しており、再生可能エネルギーを用いた電力のニーズ拡大に対応する。
ダイキン工業はこれまで、空調機メーカーとして地球環境に貢献するため、機器の省エネ性の向上を中心にCO2排出量の削減に取り組んできた。2020年までの戦略経営計画「FUSION20」では、重点戦略テーマの1つとしてエネルギーソリューション事業を掲げており、機器の販売だけでなく、システムやサービスなど空調機のライフサイクル全体へと事業の拡大を目指している。その一環として、空調機の開発で培った省エネ技術を創エネに展開し、空調機を動かす電力を生みだす創エネ事業に取り組む。
これまでマイクロ水力発電システムの開発および実証は、産官学との協創によって新たな価値創造をめざすダイキン工業の技術開発拠点TICを中心に、環境省の委託事業として取り組んできた。既に、導入している富山県砺波広域圏事務組合水道事業所や福島県相馬地方広域水道企業団、兵庫県神戸市、富山県砺波市に加え、今後、京都府長岡京市の水道施設への導入も検討されており、環境貢献の意識が高い多くの自治体への展開をめざす。また、兵庫県神戸市では、より小さな水力エネルギーで発電が可能な超小型マイクロ水力発電システムの共同研究を実施しており、さらなる普及に向けたマイクロ水力発電システムの開発にも取り組む。DK-Powerは、2020年に年間発電量で一般家庭23,300軒分※1に相当する84,000MW時の発電をめざす。
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【マイクロ水力発電システム】ダイキン工業、再生可能エネルギーから電力を創り出すスタートアップ企業「DK-Power」設立
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