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【2018年入社式挨拶】出光興産の木藤俊一代表取締役社長

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 出光興産(株)の木藤俊一代表取締役社長は、4月2日の入社式において次のような挨拶を行った。
1.はじめに
 皆さん、入社おめでとう。出光グループを代表して皆さんの入社を心より歓迎します。
 皆さんは、今日この場から社会人としての第一歩を踏み出すことになりますが、私自身も、今日から社長としての第一歩を踏み出すことになります。お互いピカピカの1年生同士、一緒に頑張っていきましょう。
2.出光が大切にしていることについて
 当社は今年で創業107年を迎えます。創業以来「人間尊重」という経営理念を大切にしてきました。出光における「人間尊重」とは「自ら顧みて尊重できる人間、そして周囲からも尊重される人間へ成長する」ということです。当社の社員は、社会のため、お客様のために、成すべきことを自ら考え、その実現にむかって本気で「挑戦」し、理念をその時々の環境変化に応じて「実践」し続け、出光の歴史をひとつひとつ築き上げています。
 ホットな話題としては、ベトナムで2004年から取り組んできたニソン製油所が、この4月から製品出荷を開始する予定です。異なる国籍のパートナーと価値観や仕事の違いを乗り越えて、製油所の設計、オペレーションまで、皆さんの先輩達がリードして取り組んでいます。並行して、外資系企業の進出は極めて難しい中、昨年10月ハノイ近郊に第一号のサービスステーションを立上げました。この様な環境の下、出光社員が現場に入り込み、愛情を持ってSSスタッフの教育を行ったことで、これまで同国になかった新しいサービスが導入されました。このことは現地の新聞等のメディアに取り上げられ、日本の誠実さや仕事に対する姿勢、サービスレベルに対し、非常に高い評価をいただくことができました。
 これは、出光が大切にしてきた「挑戦と実践の力」を世界に示した一例です。
3.「次の出光」作り
 皆さんが入社された今日は、「次の出光づくり」の第一歩となる第5次連結中期経営計画がスタートする日でもあります。化石燃料を主力事業とする当社にとって、今後、企業の存在意義を問われるような、大きな経営環境の変化が起こる可能性が高いと考えています。そこで、2030年をマイルストーンとして環境想定を行いその経営環境を踏まえ、ありたい姿として「私たちは、環境・社会との調和を図りながら、新たな価値創出に挑戦し続ける日本発のエネルギー共創企業」というビジョンを掲げました。
 このありたい姿・ビジョンの実現には、大きく2つの課題があります。
 1つ目は、レジリエントな事業ポートフォリオの確立です。これまで当社は、収益の多くを燃料油、石油開発、石炭の3事業に依存してきました。今後は、アジアを中心とする視点で燃料油販売の拡大や新たな低炭素ソリューションを作りだしていきます。もう一点は、潤滑油、電子材料、機能化学品、アグリバイオ等の高機能材事業の成長を促し、更にその先を見据えた新規事業への創出にも取り組んでいきます。
 2つ目は、環境・社会・ガバナンス、いわゆるESG視点での取り組み強化です。
 出光はこれまでも時代に先駆けた社会、環境対応を行い「人を大事にし、お客様を大切にし、環境問題と向き合い、社会に貢献する。」という今の世の中が求めていることに取り組んできたという歴史があります。出光がこれまでやってきたこととこれから取り組んでいくことを整理し、そこに多様化・グローバル化という視点を折り込みながら、主体的に「戦略」として位置づけていきます。
 次の出光づくりに欠かせない要素として、現在進めている昭和シェル石油さんとの経営統合についても触れておかなければなりません。国内燃料油事業の維持・強化のためには、統合が最善の方法であるという考えについてはいささかの揺るぎもありません。昨年5月には、両社で先ずアライアンスを組み、統合までの時間を無駄にすることなく、戦略構築やシナジー効果を実現していこうと活動を開始しています。この4月からは両社の主要部門のオフィスを一体化する等、目に見える数字だけではなく、質的な融合についても着実に前進させています。
4.皆さんに贈る言葉
 最後に一つ、皆さんに言葉を贈りたいと思います。
 孔子による論語の一説で「知・好・楽」という言葉があります。知る、好き、楽しい、の頭文字の漢字です。この意味を仕事に当てはめれば、「その仕事を知ることは素晴らしいことだが、好きだと思って取り組んでいる人には敵わない。更に楽しんで取り組んでいる人には全く敵わない」ということになります。
 皆さんはこれから新入社員研修やSS・製油所での実習などを経てそれぞれの職場へ配属されます。私もそうでしたが、新入社員である皆さんは、すぐに自分が希望した仕事を任せてもらえるとは限りません。夢と現実のギャップに苦しむこともあると思います。どのような仕事であっても、まずは主体的に取り組み、その仕事を好きになってください。目の前の仕事に真摯に取り組み、基本を身につけ、課題を達成できた人は、次のステップに進むことができ、さらなる成長していくことができます。このように「自己実現」していくことで、仕事を楽しみながら、社会へも貢献していくことができてくるのです。
 出光は創業以来、一貫して「人を育てる」ということそのものを経営目的として捉え、「人間尊重」の経営理念を「実践」により脈々と引き継いできました。一人ひとりが生き生きと自由に働き、仕事を通じて成長し、和を持ってお互いに信頼しあい、切磋琢磨してきました。
 これからは、守るべきものは守りつつも、「変化」を先取りし、新しいことへ挑戦し、皆さんと一緒に、「次の出光」をつくっていきたいと思います。
 次の出光づくりの主役は皆さんです。そんな皆さんが出光の一員として大いに活躍されることを期待して、私の歓迎とお祝いの言葉と致します。


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