エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ、エッセン)は、今年度の年間業績予想を堅持する方針を固めた。継続事業による売上高と調整後EBITDAは、少なくとも前年度と同水準に達する見込み。2018年度の売上高と調整後EBITDAは、売却したメタクリレート事業を除くとそれぞれ133億ユーロと21億5000万ユーロ。
今年度第2四半期の売上高は、前年度同期比3%減の33億1000万ユーロ。経済の軟化が要因となり販売数量こそ減少したが、販売価格はおおむね維持することができた。同四半期の調整後EBITDAは、前年度同期比8%減の5億6600万ユーロとなった。2019年度第1四半期比では、エボニックが展開する3つの化学品事業のすべてにおいて増益を達成した。今年度下半期もこうした好調な業績が続くと予想している。
エボニックの取締役会長クリスチャン・クルマン(Christian Kullmann)は、「エボニックの業績は好調で、今年度の業績予想を達成できる見込み。国際貿易が冷え込み主要産業の市場が軟化する中で目標を達成することは簡単ではありません。それでも、今年度の残り期間も業績は予想どおりに推移すると確信しています」とコメントしている。
上半期のフリーキャッシュフローは9500万ユーロに達した。これは、2018年度上半期(4600万ユーロ)の倍以上の額となっている。フリーキャッシュフローを昨年度よりも極めて高く設定した今年度の年間目標に向け順調に推移している。
クルマンはさらに次のようにコメントしている。「エボニックはポートフォリオをスペシャルティケミカルに集中させるという戦略をとり、大きな成長を遂げてきました。堅調かつ魅力的な成長が見込める領域に投資し、景気変動に影響を受けやすい事業は適宜売却する方針をとっています。この方法により、景気変動の影響を受けにくい企業体制を構築しています」
エボニックが達成したマイルストーンには、アドベント・インターナショナル(Advent International)へのメタクリレート事業売却の他にもう1つある。7月10日、エボニックとオランダ企業DSMの合弁企業であるヴェラマリス(Veramaris)で実現した新たなプラントの正式な稼働開始である。この工場では、サケの養殖に必要なオメガ3脂肪酸が生産される。このプロジェクトは長期にわたり持続可能な動物飼料の生産に貢献し、海洋における生物多様性の保護を促進することが期待されており、具体的な収益は来年度から計上する予定となっている。
事業部門ごとの業績
リソースエフィシエンシー:自動車およびコーティング関連の事業では市場が軟調であり、同事業の第2四半期の売上高は前年度同期比2%減の14億ユーロであった。シリカ、オイルアディティブス、コーティングの各事業が弱体化した経済の影響を受け、販売数量の減少につながった。一方、風力発電市場向けのコンポジット用途があるクロスリンカー事業や、ハイパフォーマンスポリマー事業の需要は拡大した。調整後EBITDAは9%減の3億2500万ユーロとなった。
ニュートリション&ケア:第2四半期の売上高は、5%減の13億1000万ユーロ。販売価格が前年度同期比で下落した一方で、家畜飼料用の必須アミノ酸に対する需要は堅調を維持した。同事業の調整後EBITDAは、販売価格の下落およびシンガポールに新設したメチオニン工場の開設コストの影響から、14%減の1億9000万ユーロであった。ケアソリューションズ事業およびヘルスケア事業といった消費者と密接に関係する領域では、不景気の影響を受けやすい環境でありながらも業績が安定していた。
パフォーマンスマテリアルズ:第2四半期の売上高は、4%減の5億9400万ユーロであった。パフォーマンスインターミディエイツ事業は販売価格がやや低下したことに加え石油価格が下落したことから、業績に影響が及んだ。一方、ファンクショナルソリューションズ事業はアルコキシドでの業績が好調であった。同事業の調整後EBITDAは、4%減の7600万ユーロであった。