凸版印刷(株)は、NEDOが公募した2019年度「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」(課題番号:I-D3)の委託事業者として、凸版印刷が参画する「プラスチックの高度資源循環を実現するマテリアルリサイクルプロセスの研究開発プロジェクト」に採択され、実証を開始した。
今回の研究プロジェクトは、福岡大学工学部化学システム工学科 八尾 滋教授をプロジェクトリーダーに、8つの研究機関と、凸版印刷を含む10社が共同で革新的な技術・システムの先導研究を行い、使用済みプラスチックをバージン素材と同等の物性に再生し、再利用するマテリアルリサイクルの技術開発を行う。
凸版印刷は、この研究プロジェクトの中で、再生されたプラスチック樹脂を軟包装フィルム化する際の課題の抽出を行う。この取り組みを通して、再生プラスチック樹脂を軟包装として再利用するための、リサイクルシステムを構築する技術開発への取り組みを開始する。
<プロジェクト研究グループの役割とフロー図>
■背景
プラスチックごみ問題が社会課題として注目される中、国内外において環境配慮型包材の需要が高まっており、グローバル企業の多くが容器包装のより優れたプラスチック資源循環に向けた目標を設定し、さまざまな施策を打ち出している。また米国では、PE(ポリエチレン)の回収から再利用までのリサイクルルートが整備され始めているなど、世界的にもモノマテリアルを前提とするリサイクルへの取り組みが加速しつつある。
凸版印刷はこうした社会動向に対応するため、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)を基材としたバリアフィルムを開発し、軟包装に使用される3つの主要素材すべてのモノマテリアル高機能包材を提供している。
このたび開始される研究プロジェクトは、成形品や軟包装などで使用されたプラスチック製品を回収・選別し、包材にも再利用するというマテリアルリサイクルプロセス構築を目指す研究開発。このリサイクルプロセスが構築されることにより、国内ではPETボトル以外のPEやPPの回収ルートの構築が実現し、国内においてもモノマテリアル包材のリサイクルの実用化が期待される。