ローランド ディー.ジー.(株)(以下ローランドDG)は、新設子会社であるDGSHAPE(ディージーシェイプ)(株)の第一弾製品として、新開発の歯科用3Dプリンター「DWP-80S」と歯科用ミリングマシン「DWX-52DC」を3月31日に同時発売する。
歯科用3DプリンターDWP-80Sは、入れ歯の製作に必要とされる、患者個々人の歯や口腔内の形状に合わせた「型」を製作することができる。
世界的に進む高齢化や発展途上国の経済発展に伴い入れ歯の需要は増加傾向にある一方、ベテラン技工士の引退や新規入所者の減少といった課題を抱える歯科技工所は多く、デジタル化による業務負荷の軽減が急務となっている。DWP-80Sは、入れ歯の製作工程に不可欠な熟練技工士の高度な技術を代替。精巧かつ繊細な匠の技を再現し、歯科技工士の業務負荷軽減に貢献する。
ローランドDGが2010年に参入した歯科技工市場では、歯の詰め物や被せ物などの補綴物(ほてつぶつ)を製作する歯科用ミリングマシンが、業務のデジタル化を推進する歯科技工所のニーズを捉え、先進国を中心に急速に市場シェアを拡大している。デジタル化が進むデンタル関連市場の開拓余地は大きく、新たな補綴材料が次々と登場する市場特性や、補綴物製作業務の多くがアナログで行われていることを考慮すると、業務の付加価値向上、生産性向上に、ローランドDGの強みであるデジタルものづくりソリューションを適用できる領域は大きく、DGSHAPEの下で、専用ソリューションの開発・提案を加速させることが最適であると判断している。
DGSHAPEは、ローランドDGの3D事業を引き継ぎ、2017年4月3日よりデンタル分野を中心とした事業運営を開始する。営業およびサービス・サポートについては、当面の間、これまで通りローランドDGが対応する。
■DWP-80Sの特長
(1)入れ歯の製作に必要な「型」を高精度に造形
入れ歯の製作工程で必要になる、患者個々人の歯や口腔内の形状に合わせた3種類の型(カスタムトレー、ベースプレート、フレームワークの3種)の製作用途に特化した3Dプリンター。
(2)効率的な造形を可能にする面露光方式
UV-LEDランプを光源とするプロジェクターから紫外線を照射し、専用樹脂を硬化させることで造形する。プロジェクターによる面露光方式で、一層毎にスライスされた型のデータを一度に硬化させるため、レーザーを点で照射しながら硬化させる方式に比べ造形時間を短縮することができる。デスクトップサイズながら80×80×80mmのワークサイズを確保しており、複数個の型を同時に製作(*)することも可能。
* 一度に造形できる型数の目安:カスタムトレー:最大3個/ベースプレート:最大4個/フレームワーク:最大4個(型の大きさによって数量が前後する場合がある)
(3)出力データを3ステップで簡単に作成できるCAMソフトウェアを標準付属
直感的な3ステップの簡単操作で、3Dプリンターに不慣れな方でもスムーズに出力データを作成することができる。材料の収縮率など、それぞれの型の製作に適した出力条件があらかじめ設定されており、データの補正や回転、サポート(造形物を支える役割を担う)の生成なども自動で行う。
■DWX-52DCの特長
(1)新開発のオートディスクチェンジャー(ADC)で効率的な加工を実現
最大6枚のディスク材料を自動交換するオートディスクチェンジャー(ADC)を搭載しており、材料の異なる補綴物(クラウン、ブリッジ、コーピング、アバットメント、インレー、アンレー、サージカルガイド、歯台など)を連続して加工することができる。切削屑の除去や刃先の冷却に必要なエア量も材料に応じて自動で切り替えるため、無人での連続運転や夜間運転が可能。ディスクチェンジャーは、切削機構から独立しており、加工中でも材料の交換が可能。最大7本のピン材料を取り付けることができるピン付材料用アダプターも標準付属。
(2)ミリングバーを自動で交換するオートツールチェンジャー(ATC)
15本のミリングバーを加工時に自動で交換するATC(自動刃物交換装置)を搭載し、荒削りから仕上げまで、工程を中断することなく効率的なオペレーションが可能。
(3)5軸制御による高精度な切削加工
XYZ軸に加え、360度回転するA軸、30度回転するB軸を備え、垂直方向からの加工では削り残しが発生しやすい複雑な形状も高品質に仕上げることができる。