三菱ケミカル(株)は、ポリオレフィン系のシラン架橋性樹脂「リンクロン®」(以下「リンクロン」)専用の脱スズ触媒マスターバッチ(MB)を新たに開発した。
パイプや電線被覆材等で40年近く採用実績があるリンクロンは、成形時に専用のスズ含有触媒MBを混合させ、熱水処理を施すことで、耐熱性や耐クリープ特性(一定の荷重をかけても変形しにくい)を発現させて使用する。
一方、近年、欧州ではスズ化合物に対し、使用濃度の制限や乳幼児の皮膚に接触する用途での使用が禁止されるなど規制が厳格化されており、スズ含有触媒MBの代替品の開発が強く求められてきた。
従来のスズ含有触媒MBは、架橋反応速度が速く、基材への着色もない優れた触媒であり、代替品の開発は容易ではなかったが、この度、同社は、スズ化合物に代替する新たな触媒を見出し、リンクロン向けに改良することで、従来品と同等の架橋反応速度・性能を有する脱スズ触媒MBを開発することに成功した。この脱スズ触媒MBで成形した製品は、従来のスズ含有触媒を使用した製品と同等の耐熱性や耐クリープ性を持ち、リンクロンのすべてのグレードに適用することが可能。
さらに、今回開発した脱スズ触媒MBは、従来品に比較し、常温における架橋反応速度および架橋到達度が高く、従来必要であった熱水処理設備がなくても十分に性能を発揮できるため、リンクロンの新しい用途・市場を開拓することができると考えられている。
同社は、2017年3月よりリンクロンと脱スズ触媒MBのグローバルマーケティングを開始した。今後は、全世界で管材・被覆材等の既存用途および常温架橋性を利用した新しい用途・市場の開拓を進め、機能性樹脂事業の拡大を一層加速させていく。
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【脱スズ触媒MB】三菱ケミカル、ポリオレフィン系のシラン架橋性樹脂用を開発
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