三菱ケミカル(株)の炭素繊維複合材料であるSMC(Sheet Molding Compound)が、トヨタ自動車(株)から2017年3月に発売されたレクサスの新型ラグジュアリークーペ「LC500」「LC500h」のドアインナーおよびラゲッジインナーに採用された。
自動車市場では燃費規制やCO2排出規制の強化を背景とした車体軽量化への関心が高まっており、軽さと高い強度を併せ持つ炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の自動車部材への適用が期待されている。
三菱ケミカルが開発したSMCは、CFRPの中間基材の一種で、長さ数cmにカットされた炭素繊維を樹脂中に分散させたシート状の材料。プレス成形により2~5分程度の短時間で部材に加工可能で、連続した炭素繊維に樹脂を含浸させた中間基材であるプリプレグと比べて、複雑な形状の部材を成形することができるという特長を有している。また、機械特性が均質に近いため、従来の部材設計ノウハウを活かしながら比較的容易に炭素繊維を利用して、軽量化と高強度化を実現することができる。
このたびのレクサスでの採用は、同社のSMC採用により大幅な軽量化と高い部材性能を実現できた点、また、同社のSMCが複雑形状の部材を生産可能とする成形性に優れる点を高く評価されたことによります。トヨタ自動車に同社のSMCが採用されたのは2017年2月に新型「プリウスPHV」のバックドアの骨格へ採用された案件に続き2件目。
三菱ケミカルは三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画「APTSIS 20」における2020年に炭素繊維・複合材料事業の売上高1,000億円を目標に掲げており、その達成に向け、成長著しい自動車用途をはじめとする産業分野へ積極的に事業展開していく。
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【炭素繊維】三菱ケミカルのSMC、レクサスの新型ラグジュアリークーペに採用
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